Débora Rodrigues
デボラ・ロドリゲス
1982 年マデイラ諸島の北東にあるポルト・サント島で生まれる。
6 歳でリスボンのモウラリーア地区に移住し、音楽の勉強を始める。9 歳で劇場とTV ショーデビューを果たし、以後しばらく芸能の世界で活躍する。
また、一時期トーレス・ヴェドラスで暮らしていた際は、劇場にてファドの女王アマーリア・ロドリゲスの役を演じファドを歌いファドのキャリアをスタートさせる。
10 代のうちからカーザ・ド・ファド(ファドが演奏されるレストランおよびバー)の有名店セニョール・ヴィーニョ、オ・ファイア、パレイリーニャ・デ・アウファマ、カフェ・ルーゾなどでキャリアを重ね、若手実力派としての地位を確固たるものとする。ベルギー、ドイツ、フランス、ルクセンブルグ、スイス、ルーマニア、スペインなど海外での公演実績も多く、リスボンファド界の今後を担うホープとして大きな期待を背負っているファディスタである。
Débora Rodrigues – Há Quanto Tempo Não Canto (Fado Meia-Noite)
António Parreira
アントーニオ・パレイラ
1947年グランドラ生まれ
リスボン古典ファド界の重鎮。ファド界に彼の名を知らぬものはなく、誰からも愛される名ギタリスタ。
音楽一族に生まれ、8歳の頃より当時としては珍しく楽譜の読み書きを学ぶ。
13歳の頃独学でGuitarra Portuguesa(ポルトガルギター)を始める。
18歳でスカウトされリスボンのCasa do Fado “Guitarra de Madragoa”にてプロとしてのキャリアをスタートさせ、既に名Violista(ギター奏者)として地位を確立していたJosé Inácioの伴奏を得てEduarda MariaやTristão da Silvaといった名ファディスタと共演を重ねる。兵役中のモサンビークでは盟友となるヴィオリスタFrancisco GonçalvesとともにFernando Farinhaなどの大物慰問歌手の伴奏を度々務めた。
兵役後はいくつかの有名店に属した後、伝説的Casa do Fado “Forte Don Rodrigo”にてオープンから閉店まで25年にわたりギタリスタを務め、Alfredo Marceneiro、Amália Rodrigues、Maria José da Guia、Manuel d’Almeida、Rodrigo、José Nunesなどの歴史的ファディスタ、ギタリスタと毎夜共演を続けた。同時期にはTVやラジオでも活躍。海外ツアーでは日本にも訪れた。
1997年よりVelho Páteo de Sant’Anaに所属。Teresa Tarouca、Maria Varejo、Maria Mendes、José Manuel Barretoといった著名なベテランファディスタと共演しつつ、Liana、Jaqueline Carvalhoなど有望な若手ファディスタを育てた。
1999年からはリスボン市立ファド博物館で指導を始める。2002年には月本一史を弟子に迎え、月本からの流れで2005年からは津森久美子をはじめとした日本人の指導を行う。
派閥にこだわらない姿勢は多くのファド関係者から慕われ、またテクニックに寄りすぎない指導によって現在Casa do Fadoで活躍する伴奏者を多数輩出している。
2015年、古典ファド180曲を楽譜にまとめた『O Livro dos Fados』を上梓(EGEACリスボン市文化振興公社出版)。ファドの歴史に改めて名を刻む。
二名の子息Paulo Parreira、Ricardo Parreiraもギタリスタとして第一線で活躍中。親子3名のコンピレーションアルバムが本年発売された。
António Parreira – “Balada Para Maria Inês”